広報よしわら 昭和41年12月に富士市と鷹岡町と合併した吉原市広報紙の全記録

昭和40年 1月15日発行 内容

われらは成人1年生

成人を迎えられるみなさんおめでとう。「20歳になったら何か一つ…」誰もが、実現の可能性を信じて目的物に突進していく。経験したいことしなければならないことは山ほどある‐ここに登場した若者は、成人の第一歩をこうのべている。

成人の自覚を
明治学院大 佐野秀樹(西国窪)
 敗戦の色濃い、昭和20年2月満州の新京で生まれた私は、尊い人間の生命さえ奪う恐ろしい戦争や、敗戦後の混乱を知るよしもないが、当時の苦しみを父母や人々に聞かされるにつけ自分が現在成人の日を迎える年令に達した事を思うとき、感慨無量なものがある
 敗戦後の日本は、あらゆる面で古い制度は一掃され新しい息吹きのもとに、成長を続けている、このような変化の著しい社会とともに育ってきた私たちは、一度自分自身を見つめ、成人になった自覚のもとに、責任ある行動と与えられた道を最善をつくして進みたいと思う。
 古いものと、新しいものとの混乱期に、良いものを追及し、住みよい社会建設の捨て石になりたいと思う。
 さらに親の力、社会の力があったことを忘れずに、少しでも報いるよう努力しなければならない。そして与えられた人生の設計を、悔ゆることのないよう樹立したいと思う。

中味のある大人に
日産吉原 石原邦子(三ツ沢)
 “成人日本”そんな見出しの新聞を読んだとき、おやっとその記事に引かれた。
 昭和40年の訪れと共にいよいよ私もおとなの仲間入りなのだと…。戦後の混乱した状態なかでの、親の苦労をよそに、一人で大きくなったような顔をしているのであるから、ご苦労なしも良い所。
 そんな甘い考えの中にもこうして成人式を迎え、祝福される事に感謝せねばならない。
 “若い”ということ、それはすばらしい財産だと思いませんか…。
 私たちはそれなりの気構え、ファイトを持って、社会生活にのぞもう。たんに選挙権を得るのではなく、そして成人だということでおとなとしての存在を押し売りすることのないようにどんなにスピード化した世の中にあっても、自分を見失うことのないように、毎日を過ごしたい。

着実に経験…
横浜市大 川口貴明(東滝川)
 正直なところ、成人としての実感がわいてこない。しかし現実は20才になると成人として扱われ、思慮分別を持ち責任ある行動のできる人間として、飲酒喫煙が認められ、選挙権を得て、国の政治に関与できるなど種々の名誉や権利が与えられると同時に責任と義務が要求される。
 それは僕にとって嬉しいことであり、誇らしいことであるが、20歳の今日まで学校生活に費やし、なお2年の学業を背負っているので、社会的経験にとぼしく視野も狭い。成人になったとはいえまだ実質が伴っていないし、まだまだ多くのひとから学ばねばなりません。
 しかし、あわてて背伸びしすぎないように、一歩一歩着実に経験を重ねて、社会の情勢をキャッチし、視野を広げ、与えられた“おとな”でなく、自ら形成する“おとな”になっていきたい。正々堂々と20歳の一人の人間とし…。

体当たり精神で
静岡銀行 青木千世子(依田原四)
 “生きる事は、呼吸することではない。何事かを成す事である”とか。成人としての今日、私はこの言葉をより大切にしたいと思う。ただ真剣に何事かを成している姿、そして成し得たあとの休息には、清ら・ゥな喜びがあります。
 私たちの日常の勤労のあとにも、このささやかな幸福はあるのです。その日を人生の最善の日とするよう一日一日を努力し、他人の考えに惑わされず、自己の考えに自信をもつ、そんな青春を送りたいものです。
 成人としての私たちにかけられた期待が大きければ大きいほど、体当たりして、自分の力を試してみようと、私の小さなエネルギーは大きく燃えあがるのです。
 たとえ結果は失敗に終わったとしても、やったことの体験は自分のものです。
 “若いんだ。あたって砕けろ”そう信じ頑張ります。

ひと様の辞書になれるよう
市役所 水口三枝子(中里2)
 「成人の日をむかえ、喜びにあふれた顔、顔…こんなとき人生の幸福を思う。私は18歳、後2年で成人である。その日のために、20歳の若人の顔を深く心に刻んだ、彼らは今日のために困難に打ち勝ち荒波をのりこえてきたのだ。私も彼らに続かなくてはならない。明日からの彼らはまた未来のために新しい困難にぶつかって生きるであろう。私も生きなくてはならない…。私がハタチになったとき、どこかの、だれかの辞書となれるように」
 これは私が18歳の目から見た成人式の雑感です。そして私は現在ハタチになりました。辞書になっていなければならないのです。
 でも社会人として生きること、辞書になるということは、本当に難しいことだと痛感しました。高校の温室の中でみた社会は、漠然としたもので、実社会へ出て、その偉大さに驚き戸惑いました。しかし自分の小さな存在を見い出したということ自体が進歩したのだと、まだまだ辞書はうすっぺらです。でも表紙だけの辞書にはなりたくない。

おかあさん ありがとう
家事 畑千賀子(和田町1)
 10代が終わって、“成人”というレッテルみたいなものが私の手に渡されたとき、思わず涙くんでしまったお母さん‐その姿は、今日までわが子を育てあげた満足感と、亡くなった父の思いが果たせたことで安心しきっている。
 “成人した者は稚心を去って将来を固めよ”
 私も成人の日を機に、悩み何でも反抗的な態度をみせる半おとなの生活から、一歩前進して“世の中が認めてくれる”おとなの動行に心掛けるつもりです。
 1月15日、私たちがめでたく成人の日を迎えられることを、母に感謝するとともに、市民の皆様に深く感謝します。
 そして私の晴れ姿もみることができないまま亡くなった父に「お父さん、あなたの分まで幸せになって見せます」と誓わずにはいられないのです。

早く一人前にならなきゃ
日産吉原 望月茂彦(依田原4)
 いつの間にか20歳になってしまった。
 “俺もトシをとったなあ”などというと、世のじい様、ばあ様方にお叱りを受けるだろか…。
 おふくろは「おとなになったもんだ」と言って笑う。“おとなになった”なるほどそうかなあと思う、しかし実感がわかない。
 それはそうだ、成人式を迎えたからといって、昨日までの自分とまるで違った自分になるわけではない。
 でも一つだけ言えることがある、“心が新たになった”ということです。おとなとして目覚めかけたというところかな。正確には“心が新たになりつつある”というところかな。
 一人前になった、と人はいうが俺はそうは思えない一人前になったのはトシと身体だけで、知能の方はどうも…。だから俺は言いたい“一人前にならにゃあいかんな”と。
 仕事についても然り、人間としても然り。まず社会人として一人前になれるよう、今日この日心を新たに努力してまいります。

“前進あるのみですよ”

 「写真をとるですか、よわい、よわい…」笑いながらカメラに肩すかしをくれたのが、荒田島岳南鋳造所に勤め、ことし成人をむかえる山形県生まれ、工藤茂君の開口一番のあいさつである。
 工藤君が岳南鋳造へ顔を出したのはいまから5年前という。社長の増田茂さんは素顔の工藤君をこう語る。「とにかく愉快な青年ですよ、彼から笑いをとったら何が残るかな…私のところはいま28人の従業員が社のため、わが身のために一つの信念をもって仕事をしてくれています。もちろん工藤君もその中の一人です。私が彼に惚れ込んでいるのは若い者とは思えないド根性をもっていることですよ。どんなにつらい仕事でも決して泣き顔、ぶっちょうヅラを見せないことです。東北魂しいというのですか」増田さんのことばを裏付けするかのように、先輩の加  当の工藤君はすまし顔で「20歳になったって別に昨日と変わりないです。ただ前進あるのみですよ。“歳月は人を待たず”という格言もあるでしょ」
 てれくさそうに話すハタチの若者も、固く冷たい鉄をみつめながらいつか両手をにぎりしめていた。

‐ 写真あり ‐
( 写真説明)・・・成人の抱負を語る工藤君(岳南鋳造所で)

先輩として一言

まず健康で
市場町 今泉春枝
 成人になられた皆様方おめでとうございます。
 いよいよ一社会人としてみとめられ、選挙権も与えられ、発展して行く社会を構成する仲間の一員としてあなた方の力と知恵を発揮できるわけですが、同時に責任と使命も大きいことを自覚しなければならないと思います。
 私も母親として、あなた方にお願いしたいことは、まず健康であるということ。身心の円満な健康は弾力性と新鮮さがあるわけで、若さにあふれた健康美をいつまでも失なわないでもらいたい。また一方周囲の人々に愛される人であり、つねに思想する生活のできる人こそ現代を、そして将来をになう若者たちの新しい生き方であると考えます。
 おとなになったからといって、すぐに何でもできるものではありません。一つ一つ学んだことを積み上げまた反省することを忘れずに、明るい社会を築いていただきたいと思います。

矛盾と闘え
西国窪 落合巳代治
 みなさんは社会へ出て、きっと多くの矛盾に突き当たっていることと思います。
 若い人々の値打ちは、この矛盾と対決するか、妥協するかによって評価されると思います。
 私は若さに似合わぬ“リコウ”な人をけいべつします。勇気をもって矛盾と闘う青年の純粋さに魅力を感じます。
 みなさんは、きょうから選挙権を得ました。私は新しく生まれた有権者が、立派にその権利を行使することに大きな期待を寄せています。公明選挙は“百年河清を待つ”に等しいと悲観的な見方もありますが、しかし毎年生まれる有権者が正しい選挙を行うことができるならば、理想選挙はやがて達成されることでしょう。世の中を改革する原動力はいつも青年であることは歴史の示す通りです。
 みなさんは、成人を契機として、人生のいろいろな試練にぶつかることと思います。その最初の試練は結婚でしょう。言うまでもなく、結婚は一生の運命を左右します。成人の日に当たって、まず第一に頭に浮かぶのは成人する1,710人が一人残らず幸福な結婚を、ということです。
 両親や先輩の意見もきいて、慎重に真剣に相手を選択し、悔いない結婚をしてくださるよう祈っています。

人間味のある生活を
中里1 池田かつ
 富士登山を目指す一女性が、カメラを車中にわすれた‐これをある青年が駅にとどけた‐駅ではカメラを忘れた女性の心中を察して山中湖畔にある警備隊に連絡した‐同隊では登山中の女性にその旨を連絡した‐受け取った女性は、この親切に感激して、金一封を青年に贈った‐青年はそのお金を知恵おくれの子供の施設に寄付した。
 この記事を読んで、私はあたたかい美しい心のつながりに胸をうたれました。
 このリレーは、一青年のあたたかい思いやりから始まった行動が、つぎつぎとリレーされ、じつに明るいふん囲気をかもし出しています。
 “私たちの住む社会”それは複雑で、つねに動いている。科学の進歩と同時にインスタント化の傾向も強い。その中にあって、失なわれがちな心の豊かさ、あたたかさを若い皆様に発揮していただき、正しい判断と行動によって、地域の浄化につとめていただきたいと思います。

初心を肝に
市場町 荻原 守
 ある正月、ご挨拶にと伺った息子の勤務先の社長さんが、ひっそりとした広い工場の荷物の間から、作業衣のままで顔を出されたのでまず驚いた。
 苦難を乗り越えた、太いひたいの線、笑いの中にキラリと光る澄んだ瞳、張りのある声、火の気のないストーブを前にして心温まる数々の話しでした。
 息子の心の指針にと伺ったら「どうかくれぐれも初心を忘れないように」という言葉でした。事業一途に生涯をかけ、働く者の幸せを心から願っている老社長の言葉だけに、新しい金言として正月を迎えるたびに心をゆすぶられる。
 “初心”そこには夢を求め、開拓してやまない逞しさと力がある。この若さこそ人生の花であり、何ものにもかえがたいあなた方の宝です。どうぞ長い人生に悔いを残すことなく、良心の声なき声にジッと耳を傾け、真に意義ある生き方をお願いするものです。

編集後記

この頁を企画するにあたり成人者、父兄の快いご投稿ありがとうございました。これからも市政へのご意見ご希望をお寄せください。(市長公室広報係)

“無線広報”のお知らせは毎日午前7時45分と午後4時45分。